Okavango Delta (オカバンゴ・デルタ) (前篇)
訪問日:2010年6月9-11日
オカバンゴ・デルタ(Okavango Delta)とは?
オカバンゴ・デルタとは、ボツワナの北西部に広がる世界最大の三角状の湿地帯です。面積は25000平方㎞、流れ口から先端までは300㎞ほどにもなります。
下の地図に見られるように、上流のアンゴラで雨季に降った雨がオカバンゴ川となって大量に流れ込み、三角形に広がって沼となり、サバンナの大地に吸い込まれたり、蒸発したりして、マウンの手前で消えていきます。雨季には水が道路を沼の底に沈め、先端はマカディカディ塩湖に流れ込みますが、乾季には干上がって砂漠になります。その一帯は、モレミ動物保護区とも重なり、多くの野生動物が生息する世界的に有名な自然の宝庫となっています。
オカバンゴ・デルタは、2014年に自然遺産として世界遺産に加えられました。
ボツワナの経済はダイヤモンドによって支えられていますが、その資金を活用して自然保護もしっかりなされており、大自然と野生動物を満喫できる観光産業も経済の大きな柱となっています。ボツワナは、特に富裕層をターゲットにした観光に力を入れており、オカバンゴ・デルタには、たくさんの豪華なテント・ホテルがあります。先代の天皇・皇后両陛下(明仁上皇と美智子上皇后)も行かれたことがあり、よくご存じのようです。
オカバンゴ・デルタの中の、モレミ動物保護区でテント・ホテルに泊まるには、通常はかなり高額なのですが、2年間のボツワナ生活のどこかで、一度行きたいものだと思っていました。すると、2010年の4月頃、一度利用したことのある現地の旅行会社から連絡があり、激安なパッケージがあるがどうか、という知らせがありました。目的地は、モレミ動物保護区の西端に位置するPOM POM CAMPというデラックス・テント・ホテル。ハボロネとマウン間およびマウンとPOM POM CAMP間の往復飛行機代、二泊三日で、ゲームドライブ三回、モコロ・トリップ一回、食事等すべてが入って、通常の半額以下ということで、早速、行って見ることにしました。
ハボロネからマウンを経由して、POM POM CAMPへ
出発は、朝早く起きて自宅からタクシーに乗り、ハボロネ空港へ行って、朝8時発のマウン行の飛行機に乗ります。
ハボロネ空港は、懐かしかった古い空港ビルが立て替えられて近代的な建物になり、立派なゲートも取り付けられましたが、ゲートを使えるような大きな飛行機は来ないので、やはり飛行機の昇降口まで歩いて行ってタラップの階段を登らないといけません。
一時間ほどの飛行で、マウンの町が見えてきました。
今回乗ったのは、ボツワナ航空のATR42-500、フランスとイタリアの共同企業体ATR社製です。あまり見たことない飛行機ですが、日本でも、天草航空などで離島間の輸送に使われているとか。快適性はまずまず。ターボプロップ機ですから、低空をゆっくり飛んでいきます。
マウンの空港ビルです。田舎のローカル線の駅と言った感じ。一日数本しか飛んでいませんが、国際的な観光地の入口にあるので、国際線もあります。
ここで、旅行会社が手配した人が私たちを待っていてくれました。荷物を持ってくれて、これからキャンプ地まで向かう飛行機まで案内してくれました。観光用の軽飛行機がズラリと並んでいまづ。
飛行機は8人乗り。自家用車のようなシートです。荷物は飛行機の下部に積み込まれました。
この人が操縦するのかと思っていたら、残念ながらボツワナ人ではなく、若い白人の男が操縦士でした。
いよいよ離陸です。コックピットの計器類は意外にシンプルで、ナビのようなモニターがあります。
ちょっと走って簡単に飛びあがりました。低空を飛んでいるので、地面が良く見えます。マウンから少し離れると、見渡す限りブッシュが点在するサバンナです。
オカバンゴ・デルタに近づくに従い、沼地が見えてきます。
5月から8月までが水が広がっていく時期、この日は、6月9日ですから、水量が増え始めた時期です。
ちなみにオカバンゴのシーズンは、
HIGH SEASON 01July – 31October (一番高い)
MID SEASON 01April – 30June、01Nov.-30Nov.
LOW SEASON 01December – 31March(一番安い)
次第に浸水地区が増えていきます。道路が一部冠水しています。
水を飲みにインパラの群れが集まって来るのが見えます。手が届きそうな感じ。
象が歩き回っているのも見えました。(左上と左下)
20分ほど飛んで、目的地のPOM POM CAMPの飛行場が見えてきました。滑走路が土色をしているので、舗装はしっかりされていないようです。
軽くバウンドして、アッと言う間に着陸しました。POM POM CAMPのご主人とおかみさんが迎えに来ていました。マウンで積み込まれた食料などの荷物を受け取っています。
ホテルまでは、この車に乗ります。トヨタ・ランドクルーザー70のアフリカ仕様車、水の中でも走れるようにシュノーケルが着いています。やはり、アフリカのサファリ・ドライブは、この車が最高! カッコいい!
POM POM CAMP到着
10分ほどで、ホテル入口に到着、従業員の方々が歌って出迎えてくれました。ボツワナ流のおもてなし!
ロビー、レストラン、バー、などがあるホテルの建屋。
中庭の前には、川が流れていて、モコロ(木をくりぬいて作ったボート)が数隻浮かんでいます。
川を眺めながらティータイム。
チェックインのあと、これから二晩泊まるテントに案内されました。このあたりは、夜になると猛獣を含む野生動物がたくさん歩き回るので、暗くなったら外には出ないようにとのこと。カバの鳴き声は良く聞こえました。カバは特に危険とのこと。
テントの入口は、川に面した側にあります。チャックで開け閉めする簡単なもの。POM POM CAMPには、このタイプのテントが8棟あります。
室内は、豪華ホテル並みの調度が置かれ、アフリカ模様のクッションがあったり、おしゃれな雰囲気です。夜は寒くなるので、湯たんぽが用意されていました。洗面所やトイレ、シャワールームも完備。特にシャワールーには屋根がなく、満点の星空を見上げることができました。
ベッドの上に置かれていたタオル、壷状に折った中に草の葉が生けられています。
すぐ前を流れる川の水面は、静かで鏡のよう、美しいスイレンの花が咲いていました。
午後のゲームドライブ
3時半頃から、夕方のゲームドライブが始まりました。ここに泊っているお客が2台に分乗して出かけました。
まずは、キャンプの前を流れている川に架けられた橋を渡ります。
水量が増えてきているので、ところどころで道が川になっていますが、トヨタ・ランドクルーザーはものともせずに進んでいきます。
水面に映える美しい日差し。水量が増えてきたので、澄んだ水の底に沈んだ道の跡が見えました。
途中、象の親子に会いました。親の象は、子どもがいるので、こちらを見て威嚇してきました。
小象は、親を信頼しているのか、全然気にせずに草木を食べていました。
木の陰に、クドゥ―が見えました。木の枝のような角を持ち、枯れ木のような色をしています。
背中に白い縞模様があるのが特徴です。これもカモフラージュのための模様です。
模様のない茶色い牛のような姿は、ハーテビーストです。
キリンの家族がいました。こちらを警戒しているようです。
キリンは優しい顔をしていますが、木の葉を食べながらもずーっとこちらを見て警戒していました。やはり、動物園のキリンとは違い、しっかり生きています。
しまうまの群れに会いました。全員、こちらを見ています。
しばらくして、背中がかゆいのか、ひっくり返って背中を地面にこすりながら帰って行きました。
臆病なのか、急いで走り去っていくのは、小型のスティーン・ボックです。
ガイドの運転手が、緊張した様子で止まって知らせてくれました。草むらの中に、斑点のある動物が見えました。
草むらの中にいたのは、レパード(豹)です。襲われると非常に危険です。私たちの車は、良く見えるように近づいて行きましたが、レパードは全く気にしません。よく見ると、獲物の肉を加えて食べていました。インパラか何かのもも肉のようです。
途中、アフリカの美しい鳥にも遭遇しました。これは、美しく光る青い鳥。Cape Glossy Starling?
この鳥は、ガイドブックによれば、Burchell’s Coucal?
頭が、金槌のような形の鳥です。Hamerkopに間違いないでしょう。
羽根を広げると、結構大きいです。
途中の休憩所で休んでいると、近くのヤシの木にバブーン(猿)が登って行きました。
休憩するために、もう一台のランドクルーザーもやってきました。
飲み物と軽いスナックで、休憩です。
ビールやワインも用意されていました。
6月9日の夕刻5時25分、陽が沈んで行きました。ボツワナは、南半球にありますから、これから冬になります。
ホテルのレストランで夕食をとったあと、中庭で焚火を囲んで、ホテルのご主人やおかみさん、外国から来たお客さんたちとおしゃべりを楽しみました。
オカバンゴの初日はゲームドライブを楽しみました。このあたりは人里から遠く離れているので、電気もガスも水道もすべて自給自足、電話もネットも通じません。夜になると、あたりはまっ暗闇、動物の鳴き声が聞こえ、空には満天の星空が広がります。天の川がはっきり見え、特に、南十字星と、大きなしっぽのさそり座が印象的でした。人間のいない美しい大自然の中で、多くの動植物が豊かに育まれています。